2006年01月15日

My First... 1 【ネクタイ】

ネクタイをはじめて締めたあの日・・・
思い出すのは、わずかに香るCK-ONE。

My First... 1 【ネクタイ】

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ウチのオヤジは、非スーツ人間だった。
XX建設と書かれた作業着がユニフォーム。

冠婚葬祭のときにしか、スーツに袖を通さない。
ネクタイ結うのもちょっと苦手。いつもオフクロがきゅきゅっと締めてた。

そんな家庭で育ったから、ほとんどネクタイに接することなく、気づけば
高校生となっていた。
漠然と、フツーのサラリーマンの父親を持つ友人がうらやましかった子供時代を
送った僕は、どこかでサラリーマンの象徴、ネクタイに憧れを持つようになっていた。

高校一年、冬休み。
初めてのアルバイトをした。
少しだけオトナになった気がした、あの冬。

はじめての【    】を経験した。

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新聞の折込チラシにあった求人広告。
とある百貨店。

僕は知っていた。あそこの従業員(♂)は、全員ネクタイをしていることを。

はじめての【履歴書】を書き、面接を受け、職場が決まる。
明日から、はじめての【アルバイト】が始まる。

B1。
食料品売り場。

仕事初日に手渡されたのは、白衣のような作業着とワイシャツ、そして
濃紺細身のネクタイ。
地味でなんの面白みもないネクタイ。
けれど、僕にとってははじめての【ネクタイ】。

残念ながら、結び方なんかわからない。
とりあえず、見よう見まねで首にぐるっと巻きつけ、片結びにしてロッカー
ルームを飛び出した。



食料品売り場ということで、周りはおばちゃんばかり。
その中で、ひとり比較的年の若い女性がいた。

「ちょ、ちょっと待って!!」

呼び止められ振り返ると、彼女は顔を真っ赤にして笑ってから、

「そんなネクタイじゃ売り場には出せないわよ、外しなさい。」

と、するっと僕の首からネクタイを抜き取り、吐息がかかるような近さで
ネクタイをきゅっきゅと締めてくれた。
ほんのりと、さわやかでちょっとだけ甘い香りが漂っていた。

これが僕にとっての、はじめての【ネクタイ】。


本編もよろしく

ランキングくりっくよろしくちゃん。


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Posted by miya/みや at 23:59│Comments(0)2005年12月NW
 
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